似顔絵製作過程(Photoshop編)

間に合わせ企画として、私が似顔絵を描く過程を紹介してみようかと思います。
またまたお茶を濁企画で申し訳ない。
まあ、似顔絵に興味がある方はどうぞ。


今回は、だいたひかるを素材に説明をすすめます。

ちなみに、今回はしぃペインターでの過程を紹介しようと思ってたんですが、
途中保存したら続きがかけなくなってしまいましたので、急遽フォトショ編です。

過程0・考え方。


はじめにイメージをある程度かためます。
まあこの章と過程1では私なりの理屈を語りますので、小理屈が苦手な方は「過程2」から
読んでくださってかまいませんよ(笑)

いきなり余談から入りますが、私は似顔絵には大雑把にわけて2種類あると考えています。
ひとつは対称を精密・写実的に表現する「栗貫型」。もうひとつはデイフォルメ命で
対称から「らしい」部分をピックアップする「コロッケ型。」
ちなみに両者合わせ持つのを「コージー型」と呼んでおります。
私はいつも、「コロッケ」か「コージー」をねらって製作してます。

コロッケ型は、栗貫型ほど「絵」のテクニックは要求されません。とにかく絵を見せた時
「ああ、わかるわかる」と思わせるポイントをひとつでもつかめば勝ちです。
コージーさんのタモリの物まねの「髪きった?」の様に、本当に言うかどうかは置いといて
「いかにも言いそうだ」というポイントをつかんで成功したように。

いきなり何を言ってるのかと思われたでしょうが、要するにこれが私の似顔絵に対する
スタンスでして、まず造型を近付ける前に、その人がとくにしがちな表情、仕種、
その人らしさがでそうなアングルやシチュエーションを考えます。
細かいところでは、首の傾け方・手付きや手ぶりなども、重要なポイントになり得ます。
それらが決まっていれば、造型がイマイチでも「ああ、わかるわかる」となるからです。
例としてはコロッケより前田健のほうが分かりやすいのですが、全体で見れば彼はあややと
まったく似てないのに、顔の一部の造型(&メイク)と、表情の特徴を前面に出すことで、
「ああ、あややだねぇw」となる訳です。


過程1・準備(構想)。


さて、だいたひかるさんですが。 この人の場合、力をぬいた感じでまっすぐ立っているのがデフォルトなので、それ以外の選択肢は ないと言っても過言ではないですねw
正直言って、正面の顔が一番難しいのですが、この人の場合は避けて通れません。
表情は、やはり力をぬいて、ぼっさーとした感じしか考えられません。 口は半開きでFA.
目は真正面よりちょっと上を向いたかんじで…。
……意外とこの人は、仕種で特徴付けとはいかないみたいで、苦戦の予感がしますね(汗
まあ、キーワードは「脱力感」ということで。
あとは、イメージした表情・仕種に近い資料をそろえられたら準備OK。
それが無理な場合も、できる限り写真やビデオがそろってるとモアベター。


過程2・下書き。



さて、下書きに入ります。
この時点では、似てなくてもOKです。とりあえずイメージした画像のレイアウトを完成させます。
デジタルで描いてる場合、いくらでも修正効きますから。
つーか、本当に似てねえな、この下書きw
顔以外の要素(ポーズ・手つき)はこの時点で決めてしまいます。
この段階で目一杯の資料の観察をして、対称の顔の中にキーになる部分を探っておきます。
この場合、ちょい離れ気味の目・低い鼻・口からのぞく下の歯などです。

私が大事にしているポイントは、実は口元です。
意外と見落としがちなんですが、口が開いた時に上の歯が見えるか下の歯なのかは、結構重要です。 歯並びなんかも大事だったり。
これらは、骨格と口の穴の位置関係の問題なのですが、意識してる以上に印象に残るものです。<
あと、パーツそのものより、各パーツの配置が大事だったりします。
これもまぁ、あとでいくらでも調節は効くんですけどねw


過程3・線入れ。



さて、下書きをもとに線を入れていきます。
この時点でも、まだまだ似てませんが、大丈夫です。
この人のような「奥二重」は、似顔絵描き泣かせですね(汗
今回は実物よりちょっと分かりやすい二重に描いてあります。

ちなみに、この時点でまゆげが書き込めれてないのは、まゆげは別レイヤーで描くからです。

ほらね。
なぜこうするかは理由が2つあって、ひとつは前髪とかぶる場合に、修正がしやすいように。
もうひとつは、まゆげを真っ黒で描いてしまうと、よっぽど濃いマユの人以外は違和感が出るからです。
別のレイヤーに黒かもしくは彩度と明度の低い青か緑で描いて、レイヤーの透明度を調節したり、レイヤーを 「乗算」にしたりすると、顔の色に馴染んで不自然さが消えます。
このテクニックは、クチビルの色や頬の赤みにも応用が効きます(後述)。

なお、鼻の横の線を入れなかったのは、だいたさんの場合は鼻の低さを強調した方が良さそうだと判断したからです。
この部分は、着彩の段階で「影色」で表現します。


過程4・微調整。



できた線画を見ながら、調節していきます。
パーツで一番手直ししたのは、やっぱり口ですね。芸風からまったく女性的な部分がないだいたさんですが、 意外とぽってりしてエロいクチビルをしていることを発見。
あと、もうちょっと「ぽかーん」とした感じを強調。横に広げてみました。
輪郭や首の太さなどもいじってます。
こんなふうに製作過程でいろんな発見があるのも、似顔絵かきの楽しいところです。
今回ほかには、異様に額の横幅が狭いことが発見でした。
あと、二の腕がわりとむちむちしてるのも見つけ、描きなおし。
こんなこと描いてると、私に似顔絵描かれたくない人が増えそうですねw

上でも触れましたが、各パーツがそれなりに出来ていても、配置が違うと似てこないのが似顔絵の深いところ。
とくに正面顔の場合は重要です。
目をやや離れさせてみたところ、「キました」。
いじってるウチに、いきなり似て来ることがあります。「キた」ら、勝ったも同前です。
アナログで描いてるころは、これを下絵の段階でやってましたのでえらい苦労しましたが、デジタルは楽ですねw
「キた」時点で、線画は終了です。
この時点で一度、トイレにいったりコーヒー入れたりして画面を見ない時間を作った後、再度見てみて、 やっぱり「キて」いたら次に進みます。
「違う!」と思ったら、もう少し調整してみます。

過程5・彩色その1。



まずは大雑把に色を置きます。 しぃの場合は慎重に色を選びますが、ホトショなら後でいくらでも調整が効きますので、かなり適当です。
パーツごとに別レイヤーで鉛筆ツールで平塗りして、透明部分の保護をチェックすると、色のはみ出しを気にしなくて済みます。
しぃで塗る場合は、白をマスク色にすれば同じことができます。その場合は、人物の白い部分(服など)にはほんの少しだけ色をつけておくと便利です。(255を254にするだけでOK)
色をおいてみると、まゆげを別レイヤーで作った効果がわかります。
この時点でまゆげの濃さを調節してもいいですね。
いつもは服を塗るのは顔の後なんですが、今回は簡単そうなので、先にやっつけました。

さて、薄めのエアブラシで影を塗ります。
若い人の場合は、影は要所要所にとどめ、あっさり塗った方がいいみたいですね。
ライトが正面からあたっている感じに、輪郭にさっと影色を入れると立体感が出ます。
あと、前髪の付け根にもいれて、髪の毛と顔を馴染ませます。
影色と、次の過程で説明するハイライトは、女性の化粧を意識すると分かりやすいと思います。
基本的に、窪んでみせたいところは暗く、出っ張ってたり張りがあるように見せたければ明るくしていく訳です。
ただし、化粧と逆に、その人のリアルな凹凸を表現するのが残酷ですがw


影を塗り終わると、こんな感じです。


過程5・彩色その2。



さて、完成間近ですね。影塗りあたりからこの辺が、わたしにとって一番楽しい作業です。
上でも描いた様に、お人形さんにお化粧するような感じで塗ってますw

まずクチビルを塗ります。
まゆげの説明で触れたように別レイヤーに塗り、透明度やレイヤーのモードを変えることで馴染ませます。
女性の場合はピンクからオレンジ(化粧にもよります)、男性はそれらの色の明度と再度を落とした色で塗ります。
薄い場合は気にしなくてもいいですが、だいたさんのようにぽってりしたクチビルなら、影をつけて立体感を出してもいいでしょう。

いつもは仕上げでやるんですが、今回なんとなくこの時点でやってしまったのが、髪のつやです。
黒髪の人物の場合は、髪の黒色も線画と同じレイヤーで塗っているので、「透明部分の保護」をして図の様に大雑把に入れていきます。
なぜかいつもその直後にする作業が抜けてますので、続きは後述。


次に、顔全体にハイライト(明るい部分)を入れます。
これは肌のレイヤーに直接入れてもいいんですが、修正がしやすい様に別レイヤーを作っています。
レイヤーの透明度を下げて、薄いエアブラシで少しづつ白を塗っていきます。
あまりいれ過ぎるとギラギラした顔になりますので、ライトが当ってる面・高さを強調したい部分をサクッと塗ります。
うっすら入れただけでもかなりの効果があります。
今回は鼻の頭、鼻のワキ、上下クチビルとアゴの中央に入れてあります。
下くちびるがてらてらしてエロい感じになりましたが、全体の地味さが相殺してるのがこの人の持ち味ですねw

白を塗るついでに、眼球と歯も塗ってしまいましょう。
こちらは肌レイヤーに直接でもかまいません。ただ、真っ白よりも肌色や象牙色を入れたほうが、顔から浮かなくなります。
仕上げに、少し前に塗った髪のつやに、黒で髪の流れを入れていきます。
髪の毛はマトモに塗ると難しいのですが、きちんと塗ったところで似る・似ないにはあまり影響しないので、こういう風に簡単に仕上げます。
むしろ髪の印象が薄い方が、顔に目が行きますしねw


完成。


で、まあ、前章で完成しているわけですが。
あとはお好みで背景でもサインでも入れてください。
私の場合は、その人に似合いそうな色を背景に入れ、その人のキーワードというか、よくいうセリフやギャグなどをいれてます。

それでは、ここまで読んでくださった皆さん、お疲れさまでした。
今回の製作過程では、しぃペインターの場合や、男性(特に短髪・高齢)の場合特有の過程が拾えなかったので、また他の人を素材でやってみようかと考えてます。気長にお待ちください。

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